フルハウスの「いざトーキョー・ツアー(Road to Tokyo)」を見た!成功と引き換えになるものは?

 こんにちは!白ワインと赤ワインを混ぜながら読んでくれてありがとう。

 

 フルハウスの「いざトーキョー・ツアー(Road to Tokyo)」(第123話)を見たよ! 

 

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 これはミュージシャンのジェシー日本で突如売れ出すという話。Wikipediaのビッグ・イン・ジャパンの項の関連項目に載ってて、それで知ったんだ。

 

 「なんか面白そう!」と気になっていて、先日やっとこの話が入っている巻だけレンタルして見てみた!

 

 フルハウスって、なんとなく目にしてはいたけれども、僕は特に熱心なファンというわけでもないから、この話から読み取れることに限定した感想ってことになるよ。

 

 ビッグ・イン・ジャパンというテーマがきっかけで見た作品だけど、ストーリー自体が意外なほどに考えさせられる話だった!やっぱフルハウスってイイんだね!

 

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 まずストーリーを見ていこう!

 

 あの橋の曲の後、まず、ジェシーに所属レコード会社から電話がかかってくる。そこで日本のチャートで彼の曲が一位になったことを伝えられる。

 

「凄いニュースだよ!俺の曲が一番だってさ・・・・日本で!(笑いSE)」

 

 そこでジェシーは歌番組に出るために、妻のベッキーと幼い双子の家族を連れて日本にやってくる

 

 飛行機と渋谷駅がちょっと写っただけで、すぐ日本の楽屋に場面転換。ジェシーが日本のファンにキャーキャー囲まれている。

 

 ファンはジェシーTシャツなんかを着ている。楽屋には花束と風船とジェシーのポスターだらけ。ものすごい歓迎ぶりだ。ただ、その盛り上がり方がややバブル・ニワカ的であることも感じさせる。身の回りは付き人コウジ通訳ががっちりサポートしている。

 

  ジェシーは調子に乗ってすっかりスター気取り。でも、この辺から話は不穏な感じに。彼は家族との観光の約束をないがしろにしたりし始める。妻のベッキーは寂しがる。

 

 彼はやや傲慢に振る舞うようになり、さっき塩なしに取り替えてもらったカシューナッツを次はハニーローストに変えさせる。(このカシューナッツの件は後述する個人的にこの話を見て思ったことと結構関わりがある。)

 

 妻の「夕食はどうするの?」に対してジェシーの「適当に食べるよ、心配しなくていい」という受け答えは、この辺でコミュニケーションのズレが始まったことを表している。(「家族の」夕食は?)

 

そして、場面はジェシーが出演する歌番組に。

 

 一曲目はすっごい安っぽいロックンロール風の曲で、カンペを見ながら日本語で歌うファンサービス的なやつ。そして、二曲目に日本で一位になったという「FOREVER」とかいう曲を歌う。これはこの時代にありがちなハードロック風バラードで(日本だとB'zがヒットさせてたようなやつというか。)チャート一位というのはそれなりに説得力がある感じ。

 

 で、舞台は再び歌番組後の楽屋に。

 

 ここで来年1年間のアジアツアーの予定を伝えられる。ここでもジェシーはノリノリ。家族に相談もなくアジアツアーを発表しようとする。

 

 ここで妻のベッキーがついにキレる。ジェシーは怒った妻に対して「日本に来て性格変わったんじゃない?」と言う。自分自身の見えていなさを表しているセリフだ。

 

 言い争いの末、妻ベッキーは変わってしまったジェシーのことが分からなくなってしまい、せいぜいフルーツバスケットと仲良くすればいいわ、と言って楽屋から出て行く。

 

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 多分フルハウスのファンの人はこうは思わないんだろうけど、実は僕はここまで見て、長年の夢、それがミュージシャンとしての成功なんてものであれば特に、その勝負どころには家族をちょっとないがしろにするくらいはしょうがないんじゃないかと思ってしまった!

 

だから、怒る妻ベッキーの反応を見て

 

「大きいチャンスが目の前に転がっているのに、アメリカ人はそこまで家族を大切にしなきゃダメなのかー。それにしてもそういうノリ(=圧力)がちょっと過剰なのでは?」

 

なんてこの時点では思っていた。(結果としてこれは間違った感想だった)

 

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 またフルハウスの場面に戻ると、楽屋に残されたジェシーコウジのシーンになる。ここは結構面白いんだ。

 

 「果物とお話中ですか?」「なにか足りないものはありませんか?」というコウジジェシーに対する発言が、家族より楽屋に置いてあったフルーツ(=ここでは虚栄の象徴)を優先したジェシーへの皮肉になっているからだ。コウジは一人だけこの話を俯瞰して見ているかのような不思議な存在だ。

 

 ここで、ジェシーは自分が間違っていたことに気がつく

 

 ジェシーが妻を追いかけようとして扉を開けると、彼女は扉のすぐ外で待っていた。ジェシーはそこで自分が間違っていたこと、家族を失うくらいならツアーなんてしなくていいと言う。

 

 ここで妻ベッキーは、ジェシー大事な仕事を捨てるなと言い(これは今回での来日での残りの仕事のことかな)、努力して掴んだ成功を認める。アジアツアーに関しても乗り気ではないけど完全に否定をしているわけでもないみたいだ。

 

 そして、二人の関係も元通り。ジェシーは家族(子育て)を優先し、アジアツアーのオファーを受けずアメリカに帰る。普段の生活が戻り、丸く収まる。めでたしめでたし!

 

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 実は、僕はこの仲直りのシーンで「え?」ってなった。さっきまでキーキー言ってた妻ベッキーが急にジェシーの仕事に対して理解を示す。ここで、彼女は仕事と家族と、どっちが大事なの的なことを言っているわけじゃなかったんだと気づいた。だから最初の感想は間違っていたなあ、と思った!

 

 彼女は、ジェシーの家族に対する扱いへの不満や寂しさによるヒステリー的なことじゃなくて、ジェシージェシーでなくなってしまう恐怖から怒っていたんだ。だから彼が本来の自分を取り戻したことで落ち着いたんだね。「アジアツアーをやめる」と言ったから落ち着いたわけじゃない。彼女が普段の状態のジェシーをすごく信頼していることが分かる。

 

 ここで実はカシューナッツの件が生きてくる。

 

 もし、ジェシーがミュージシャンとしての成功への真っ直ぐな熱意が故に、「成功」を「家族」より優先していたんだとすると、この話の結末は何かしっくり来ないものになる。

 

 でも実際はそうではなくて、家族をないがしろにする選択(アジアツアー)は、ミュージシャンとしての成功を目指しながらも家族を愛する本来のジェシーではなく、舞い上がって変わってしまったジェシーによるものだという面を、デフォルメして分かりやすく強調するのがカシューナッツの小ネタなんだと思うよ。細かいところがちゃんとしてるんだね!

 

 というわけで、ジェシーに成功と家族の二者択一が強いられていて、その上で家族を選ぶべきだとでも言いたげな圧力がある、というのは間違った受け取り方だった。

 

 妻ベッキーは家族を引き合いに出して夫の仕事の足を引っ張ったわけじゃないんだ。彼女が言いたかったのは単に、「この世界であなたはどういう人格として存在していたのか思い出して!」ということだった。そして、ジェシーはそれを思い出しただけだったんだね。

 

 途中まで見て僕が感じたのは、問題が「成功(アジアツアー)」「家族」の対立になっていることへの疑問だった。なぜどちらかを取るとどちらかが無くなる、または決定的な危機を迎えるという発想になるんだろうと思った。

 

 でも、実はそうではなくて「成功」と引き換えになるのが「愛する人がその人でなくなってしまう」ことだったら?

 

 そう考えたところで、僕は妻のベッキーのことが分かったような気分になったんだ。彼女はジェシーにミュージシャンとして成功して欲しいんだよね。

 

というわけで、なんか普通にイイ話だった!

 

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このフルハウスの一話に関する長めの文章を誰が読むのかは分からないけれど、

読んでくれた人には感謝します。

次からはもっと短くまとめられるようになりたい!

 

読んでくれてありがとう!またね~